「建設業界でキャリアアップしたいけど、どんな資格があるんだろう?」
「施工管理技士ってよく聞くけど、具体的にどんな資格で、どんな種類があるの?」
「資格を取ったら、どんなメリットがあるの?難易度は?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか?
建設業界において、プロジェクト全体の管理を担う「施工管理技士」は、非常に重要でやりがいのある専門職です。そして、その能力を証明するのが国家資格である「施工管理技士」資格です。
この記事では、建設業界でのステップアップや専門スキル獲得を目指すあなたのために、施工管理技士とは何か、その魅力と資格制度の全貌を徹底的に解説します。
7種類の専門資格、1級と2級の違い、気になる難易度や受験資格、そして資格取得で得られる大きなメリットまで、この記事を読めばスッキリ理解できるはずです。
ぜひ最後までご覧いただき、あなたのキャリアプランニングにお役立てください。
1. 施工管理技士とは?建設現場の司令塔となる国家資格

1-1. 施工管理技士の役割と重要性
「施工管理技士」とは、建設工事現場において、工事がスムーズに、かつ安全・高品質に進むように全体を指揮・管理する専門技術者のことです。まさに建設現場の「司令塔」として、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)、安全(Safety)、環境(Environment)といった多岐にわたる要素を管理し、プロジェクトを成功に導く重要な役割を担います。
建設プロジェクトは、多くの専門業者や作業員が関わる複雑なものです。施工管理技士は、これらの人々をまとめ、計画通りに工事を進捗させ、予算内で最高の品質を追求し、何よりも現場の安全を確保するという、非常に責任の重い、しかし大きなやりがいのある仕事です。
1-2. 国家資格としての信頼性と権威性
「施工管理技士」は、建設業法に基づいた国家資格です。この資格を持つということは、施工管理に関する高度な知識と技術、そして実務能力を有していることの公的な証明となります。
そのため、建設業界での信頼性は非常に高く、多くの企業で有資格者が求められています。
1-3. 1級と2級の基本的な違いとは?
施工管理技士の資格には、多くの場合「1級」と「2級」の区分があります。主な違いは、担当できる工事の規模や、なれる技術者の種類です。
- 2級施工管理技士:
- 一般建設業の営業所の「専任の技術者」になることができます。
- 建設工事現場の「主任技術者」として、工事の施工管理を行うことができます。比較的小規模~中規模の工事を担当することが多いです。
- 1級施工管理技士:
- 2級の範囲に加え、特定建設業の営業所の「専任の技術者」になることができます。
- 大規模な工事や、より責任の重い工事現場の「監理技術者」として、下請業者全体の指導監督を含む高度な施工管理を行うことができます。
- 一般的に、1級の方が資格取得の難易度は高く、より広範な知識と経験が求められますが、その分、キャリアアップや待遇面でのメリットも大きくなります。
どちらの級を目指すかは、ご自身の経験やキャリアプランによって異なりますが、まずは2級から挑戦し、ステップアップとして1級を目指す方も多くいらっしゃいます。
2. 施工管理技士に求められる5つの重要な管理能力
施工管理技士が日々の業務で発揮する能力は多岐にわたりますが、特に重要なのが以下の「5大管理」と呼ばれる能力です。これらをバランス良く遂行することが、プロジェクト成功の鍵となります。
2-1. 工程管理:納期を守るスケジュール管理のプロ
建設工事には必ず「工期(工事を完成させるまでの期間)」が定められています。工程管理とは、この工期内に工事を完了させるため、全体の作業スケジュールを計画し、進捗を管理する能力です。
天候や予期せぬトラブルなども考慮しながら、作業員や資材の手配、各工程の連携を最適化し、遅延なく効率的に工事を進める必要があります。
まさにプロジェクトのタイムキーパーであり、緻密な計画力と調整能力が求められます。
2-2. 原価管理:利益を生み出すコスト管理の専門家
建設工事は、事前に「実行予算」が組まれます。原価管理とは、この実行予算内で工事を完成させ、適正な利益を確保するために、材料費、人件費、外注費などのコストを管理する能力です。
単に安く済ませるのではなく、品質を維持しながらコストを最適化することが重要です。状況に応じて施工計画を見直したり、業者との交渉を行ったりと、経営的な視点も必要になります。
2-3. 品質管理:発注者の期待に応える品質確保の要
建設工事の目的は、設計図書や仕様書に定められた通りの品質を持つ構造物を完成させることです。品質管理とは、そのために必要な検査や試験、記録管理を行い、求められる品質基準を満たしているかを確認・保証する能力です。
使用する材料の品質チェック、各工程での施工精度、完成後の最終検査など、細部にわたる注意深さと専門知識が求められます。品質は、構造物の耐久性や安全性、そして発注者の満足度に直結する非常に重要な要素です。
2-4. 安全管理:事故ゼロを目指す現場環境の守り手
建設現場には、高所作業、重機作業、危険物の取り扱いなど、多くの危険が潜んでいます。安全管理とは、作業員が安全に作業できる環境を整備し、労働災害や事故を未然に防ぐためのあらゆる対策を講じる能力です。
日々の安全点検、危険予知活動(KY活動)、安全教育の実施、保護具の着用徹底、ヒヤリハット事例の共有など、地道な活動の積み重ねが現場の安全を守ります。施工管理技士は、現場で働く全ての人々の命と健康を守るという、極めて重い責任を負っています。
代表的な取り組みには以下のようなものがあります。
- ヒヤリハット運動:作業中に遭遇した事故が起きそうな状況(ヒヤリとしたり、ハッとしたりしたこと)を記録し、作業員全員で原因を考え、事故を未然に防ぐ活動。
- 危険予知活動(KY活動):作業開始前に、その日の作業に潜む危険を作業員全員で話し合い、危険ポイントや対策を共有する活動。
- 5S運動:「整理・整頓・清掃・清潔・躾」を徹底し、安全で効率的な作業環境を維持する活動。
2-5. 環境管理:周辺環境への配慮と法令遵守
建設工事は、騒音、振動、粉塵、廃棄物など、周辺環境に様々な影響を与える可能性があります。環境管理とは、これらの影響を最小限に抑え、関連法規を遵守するための対策を講じる能力です。
工事計画段階から環境への配慮を盛り込み、工事中の排水管理、産業廃棄物の適正処理、騒音・振動対策などを徹底します。地域住民や自然環境との共生を目指す、社会的な責任も伴う重要な業務です。
3. 施工管理技士資格を取得する5つの大きなメリット
専門的な能力が求められる施工管理の仕事ですが、施工管理技士の資格を取得することで、あなた自身のキャリアにとって大きなメリットが生まれます。代表的な5つのメリットをご紹介します。

3-1. 給与アップ・待遇改善の可能性
多くの企業では、施工管理技士の資格保有者に対して資格手当を支給したり、昇給・昇進の条件としたりしています。資格を取得することで、毎月の給与がアップしたり、一時的な報奨金が支給されたりするケースがあり、全体的な年収アップが期待できます。
例えば、資格手当として月額5,000円~15,000円程度、報奨金として10万円~30万円程度が支給される企業もあります(※企業や資格の種類・級により異なります)。ご自身の市場価値を高め、より良い待遇を得るための強力な武器となります。
3-2. 「主任技術者」「監理技術者」として現場で活躍できる
建設業法により、建設工事現場には「主任技術者」または「監理技術者」を配置することが義務付けられています。
- 主任技術者:2級施工管理技士以上の資格保有者がなることができます。建設業の許可を受けて工事を行う場合に、原則として全ての現場に配置が必要です。
- 監理技術者:1級施工管理技士の資格保有者がなることができます。特定建設業者が元請として、下請契約の総額が一定額以上(建築一式工事以外は4,500万円以上、建築一式工事は7,000万円以上 ※2023年1月1日より引上げ)になる大規模な工事現場に配置が必要です。
これらの技術者として現場を任されることは、責任も大きいですが、自身のスキルを存分に発揮し、大規模プロジェクトを動かすやりがいを感じられるでしょう。資格を持つことで、活躍できる現場の幅が格段に広がります。
3-3. 建設業許可に必要な「専任の技術者」になれる
建設業の許可を維持するためには、営業所ごとに「専任の技術者」を配置することが義務付けられています。施工管理技士の資格は、この専任の技術者になるための要件を満たします。
- 一般建設業の専任の技術者:1級または2級施工管理技士
- 特定建設業の専任の技術者:1級施工管理技士
資格保有者は、企業の建設業許可の維持・取得に不可欠な存在であり、企業からの評価も高まります。
3-4. 経営事項審査での加点(企業への貢献)
公共工事の入札に参加する企業は、経営事項審査(経審)を受ける必要があります。この審査において、有資格者の数は企業の技術力を示す指標として評価され、点数が加算されます。
- 1級施工管理技士:1人あたり5点
- 2級施工管理技士:1人あたり2点
資格を取得することは、あなた自身の評価だけでなく、所属する企業の受注機会拡大にも貢献できるのです。
3-5. キャリアアップと転職に有利
施工管理技士の資格は、建設業界でのキャリアアップに直結します。資格を持つことで、より責任のあるポジションを任されたり、大規模なプロジェクトに参加するチャンスが増えたりします。また、経験と資格を併せ持つ人材は転職市場でも需要が高く、より良い条件の企業へ移る際にも有利になります。
建設業界で長期的に活躍し、自身の市場価値を高めていきたいと考えるなら、施工管理技士の資格は取得しておいて損のない、むしろ必須とも言える資格です。
4. 【全7種類】施工管理技士の資格一覧と特徴・難易度
4-1. 資格の種類と専門分野の概要(1級・2級)
施工管理技士の資格は、建設工事の専門分野ごとに7種類に分かれています。それぞれの資格に1級と2級があり、担当できる業務範囲や工事規模が異なります。一般的に、1級の方が広範囲の業務を担当でき、資格取得の難易度も高くなります。
ここでは、7種類の施工管理技士資格の概要と、それぞれの仕事内容、そして気になる難易度(近年の合格率などを参考にしていますが大まかな目安です。必ず最新の公式情報をご確認ください)について解説します。
4-2. 建築施工管理技士
仕事内容と活躍の場:
建築施工管理技士は、マンション、戸建住宅、オフィスビル、商業施設、学校、病院など、あらゆる建築物の新築・改修・解体工事のスペシャリストです。鉄筋工事、大工工事、内装工事など多岐にわたる専門工事を総合的に管理し、現場全体を統括します。
※合格率は年度により変動します。最新情報は試験実施機関の発表をご確認ください。
主な受験資格(概要):
学歴(指定学科卒業など)に応じた実務経験年数が必要です。2級は17歳以上であれば実務経験により第一次検定を受験できる場合があります。
4-3. 土木施工管理技士
仕事内容と活躍の場:
土木施工管理技士は、道路、橋梁、トンネル、ダム、河川、上下水道、造成工事など、私たちの生活や産業を支えるインフラ整備に関する土木工事全般の専門家です。社会貢献度の非常に高い仕事と言えるでしょう。
※合格率は年度により変動します。最新情報は試験実施機関の発表をご確認ください。
主な受験資格(概要):
建築施工管理技士と同様に、学歴に応じた実務経験年数が必要です。
4-4. 電気工事施工管理技士
仕事内容と活躍の場:
電気工事施工管理技士は、発電設備、変電設備、送配電線路、照明設備、防災設備、情報通信設備など、あらゆる建築物や施設における電気設備工事の専門家です。現代社会に不可欠な電気エネルギーを安全かつ安定的に供給するための重要な役割を担います。
※合格率は年度により変動します。最新情報は試験実施機関の発表をご確認ください。
主な受験資格(概要):
学歴に応じた実務経験年数が必要です。電気工事士の資格を持つことで受験資格が得やすくなる場合もあります。
4-5. 管工事施工管理技士
仕事内容と活躍の場:
管工事施工管理技士は、冷暖房設備、空調設備、給排水設備、ガス配管設備、浄化槽設備など、建築物内外の「管」に関する工事の専門家です。快適で衛生的な生活環境や、産業活動に必要なインフラを支えます。
※合格率は年度により変動します。最新情報は試験実施機関の発表をご確認ください。
主な受験資格(概要):
学歴に応じた実務経験年数が必要です。
4-6. 造園施工管理技士
仕事内容と活躍の場:
造園施工管理技士は、公園、緑地、庭園、道路緑化、運動施設などの造園工事に関する専門家です。美しい景観を創り出し、人々に安らぎや憩いの場を提供するとともに、都市の環境保全にも貢献します。
※合格率は年度により変動します。最新情報は試験実施機関の発表をご確認ください。
主な受験資格(概要):
学歴に応じた実務経験年数が必要です。
4-7. 建設機械施工管理技士
仕事内容と活躍の場:
建設機械施工管理技士は、ブルドーザー、クレーン、油圧ショベルなど、様々な建設機械を用いた施工計画の作成、機械の選定・管理、安全管理を行う専門家です。建設工事の効率化と安全性向上に不可欠な存在です。
(※2021年度より「建設機械施工管理技士」から「建設機械施工管理技士」へ名称変更。級も1・2級に加え、技士補が創設されました。)
※合格率は年度により変動します。最新情報は試験実施機関の発表をご確認ください。
主な受験資格(概要):
学歴に応じた実務経験年数が必要です。建設機械の運転技能講習修了などが求められる場合もあります。
4-8. 電気通信工事施工管理技士
仕事内容と活躍の場:
電気通信工事施工管理技士は、インターネット回線、携帯電話基地局、放送設備、情報通信ネットワーク設備など、私たちの情報化社会を支える電気通信インフラの工事に関する専門家です。新しい技術が次々と登場する分野であり、常に最新知識が求められます。
※合格率は年度により変動します。最新情報は試験実施機関の発表をご確認ください。
主な受験資格(概要):
学歴に応じた実務経験年数が必要です。
5. 施工管理技士の試験制度と受験資格の詳細

5-1. 第一次検定と第二次検定について
施工管理技士の資格試験は、多くの場合「第一次検定」と「第二次検定」の2段階で構成されています
(建設機械施工管理技士など一部異なる場合があります)。
- 第一次検定:主に学科試験で、施工管理に必要な基礎知識や専門知識、関連法規などがマークシート形式で問われます。これに合格すると「技士補」の資格が得られ、監理技術者の補佐業務などが行えるようになります。
- 第二次検定:主に実地試験で、実際の施工管理業務における知識や応用能力、経験記述などが記述形式で問われます。これに合格することで、晴れて「施工管理技士」の資格を取得できます。
第一次検定と第二次検定は同年度に受験することも可能ですが、第一次検定に合格しなければ第二次検定の採点は行われません(または受験資格が得られない)。ただし、一度第一次検定に合格すれば、その後一定期間は第一次検定が免除される制度があります。
5-2. 学歴や実務経験に応じた受験資格(級・種類別)
施工管理技士の受験資格は、受験する資格の種類や級、そして個人の学歴(指定学科卒業か否かなど)によって、必要な実務経験年数が細かく定められています。
例えば、2級の第一次検定は満17歳以上であれば学歴に関わらず受験可能な場合もありますが、第二次検定や1級の試験では、大学の指定学科卒業者であれば比較的短い実務経験で受験できる一方、高校卒業や実務経験のみの場合はより長い経験年数が必要となるのが一般的です。
ご自身の学歴と実務経験が、希望する資格・級の受験資格を満たしているかを、必ず事前に各試験実施機関の最新情報を確認してください。CICのウェブサイトでも受験資格に関する情報を提供していますので、ぜひご参照ください。
5-3. 試験の免除制度について
特定の条件を満たす場合、試験の一部が免除される制度があります。例えば、
- 過去に同一資格の第一次検定に合格している場合(一定期間有効)
- 技術士などの関連資格を保有している場合
- 特定の技能検定に合格している場合
などです。免除制度を活用することで、試験勉強の負担を軽減できる可能性がありますので、該当するかどうかを事前に確認しておきましょう。
6. 施工管理技士を目指すあなたへ|まとめと次のステップ
6-1. 資格取得の意義と将来性
この記事では、施工管理技士とは何か、その種類、仕事内容、メリット、そして試験制度について詳しく解説してきました。
施工管理技士の資格は、建設業界でキャリアを築き、専門性を高め、より良い待遇や大きなやりがいを得るための強力なパスポートです。
建設業界は今後も社会基盤を支える重要な産業であり、有資格者の需要は安定して高いと考えられます。資格を取得することは、あなた自身の市場価値を高め、将来の選択肢を広げることに繋がるでしょう。
6-2. 効率的な学習方法とCICの講座紹介
施工管理技士の試験は、1級・2級ともに決して簡単な試験ではなく、合格のためには計画的かつ効率的な学習が不可欠です。特に働きながら資格取得を目指す社会人の方にとっては、勉強時間の確保やモチベーション維持が大きな課題となるでしょう。
そんな時は、専門の受験対策講座を活用するのがおすすめです。私たちCIC日本建設情報センターでは、長年にわたり多くの施工管理技士合格者を輩出してきた実績とノウハウがあります。経験豊富な講師陣による分かりやすい講義、質の高いオリジナル教材、そして最新の試験傾向に対応したカリキュラムで、あなたの合格を力強くサポートします。
通学が難しい方でも、Web講座やDVD講座など、ご自身のライフスタイルに合わせて学習方法を選べます。まずは無料の資料請求で、CICの講座内容をご確認ください。
6-3. 今すぐ行動しよう!
「施工管理技士になりたい」「キャリアアップしたい」という気持ちを、具体的な行動に移すことが大切です。
この記事を読んで、少しでも施工管理技士の魅力や可能性を感じていただけたなら、ぜひ次のステップに進んでみましょう。
あなたの挑戦を、全力で応援します!